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イタリアで出会う、古代ギリシアの街 (おまけ編)
Museo Archeologico Nazionale 国立考古学博物館

遺跡群の入口から道路を挟んで反対側にあります。
パエストゥムや近くを流れるセーラ川流域から出土した
マグナ・グラエキア時代の彫刻や陶器、神殿を飾っていたメトープ部分の浮き彫り、
古代ルカーニアの墓を飾っていた石板・フレスコ画などが展示保存されています。

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最も有名なのは、1968年にパエストゥムのネクロポリス(墓地)で発見された
『Tomba del Tuffatore (海に飛び込む男の墓) 』。(写真左下)
石棺を組み上げていた石板の蓋、内側に描かれていたフレスコ画で、
紀元前480年頃のものと推定されています。
素晴らしい保存状態で発見された この 「海に飛び込む男」 という不可解なテーマの石板は
古代ギリシアの絵画的資料がすっかり失われた現在において
大変貴重な存在となっているそうです。


◆       ◆       ◆


さて。 ここでもチケット売場の陽気なオジサンに話しかけられました。
しばらくの間、定番会話 (「日本人か?」 「どこから来たのか?」 「いつイタリアに来たのか?」
「イタリア語を話せるのか?」 ecc... ) を交わしていたのですが、
オジサンはふと何かを思いついたような表情をし、「コッチに来て」 と私に手招きをしました。

そして、壁に貼られていた一枚の白い紙を剥がし、
「ここに同じ意味の言葉を日本語で書いて欲しい」 と言って私に手渡してきました。

その紙に書かれていたのは・・・
----------------------
"Toilet Chiuso"
"Toilet Closed"
"(恐らくドイツ語)"
----------------------

・・・ハイ、確かにコチラ、トイレ出入口横の壁に貼ってありましたね。
ん? もしかして、トイレが壊れているのかー!? わははー、さすがイタリア!!(笑)

続けて、太い黒ペンをオジサンから渡される。

うーーーん。 と・・・ 日本語ね。 そうね。 何て書こう~?
えーーーと。 "使用不可"・・・ "禁止" まで強めてもいいかな~。

指示通り一番下に追加して、 "トイレ使用禁止" と書き入れてみました。
それを見ていたオジサン、 「Bello!」 を連発して大喜び(笑)
そうか~。 やっぱりコッチの人にとって、日本語の文字ってホントに魅力的に見えるんだー。
・・・・ トイレ なのになー。


その後、博物館を存分に堪能し、帰ろうと出入口に戻ると
オジサンは私にウィンクをして(笑)、また手招き。

なんだなんだ? と思いながら近寄ってみると
「さっきと同じようにもう一度書いて欲しい」 と言って
またもや "Toilet Chiuso ・・・" と書かれた紙を差し出してきました。

んー?? さっき書いたものは・・・? と、ふと横に追いやられている紙に視線を落とすと、

なんと!! 私が書いた日本語の下に
大小いくつもの "トイレ使用禁止" が びっしりと書き込まれています!!(笑)
小刻みに震える線で、いびつな文字で、
ところによっては、二度書きどころか三度書き、四度書きと線を重ねて (笑)(笑)(笑)

私は笑いをこらえながら、一応尋ねてみました。
「これ、誰が書いたのですか?」

一瞬 恥ずかしそうな表情をしたオジサン。
しかしすぐに得意満面、 「もちろん、私だよ!」 と ニヤリ。

◆       ◆       ◆

きゅきゅきゅ・・・
新しい紙にもう一度、さっき以上にでかでかと書き入れました。
それをまた満足そうに見つめるオジサン。
今度は大丈夫かいな?(笑)


もし近いうちに、この博物館に訪れる予定のある方がいらっしゃいましたら、
博物館出入口左の壁、トイレの案内板の下に この紙が貼られてないか、
是非ちょっと見てみてくださいね。
黒太ペンの日本語の下に、
さらに文字が書き込まれていないかどうかも・・・(笑)

ちなみによくよく尋ねてみると、現在トイレが故障中というわけではなく
「清掃中や 故障した場合に 貼るからね~」 とのことでした!


  
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| by dicotomia | 2007-06-13 01:39 | 旅先のイタリア語
イタリアで出会う、古代ギリシアの街
南イタリア・カンパーニャ州。サレルノから列車で30分ほどの無人駅。
駅正面出入口からまっすぐ伸びる唐傘松の並木道、
何もない、のどかな田舎道を10分ほど歩くと到着します。


PAESTUM ― la più bella città della Magna Grecia
Greci, forti forse di precedenti frequentazioni e cognizioni sulla pianura, dopo essersi assicurati un avamposto fortificato in vicinanza del mare, vi fondarono intorno al 600 a.C. una città che chiamarono Poseidonia in onore del dio del mare...

約5kmにも及ぶ城壁で囲まれた、イタリア南部の古代ギリシア植民都市、
マグナ・グラエキア時代の遺跡群。1998年ユネスコ世界遺産登録。

特に、このパエストゥムの名声を世界的に高めている古代神殿の遺跡は
アテネ、シチリアと共に古代ギリシア建築の三大神殿と評されるほどのもので、
また、その保存状態の良さは本家本元のギリシアを凌ぐとさえ言われています。


Basilica/バジリカ (正式名称 : Heraion I/第一ヘラ神殿) ≫
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b0024177_428049.jpg紀元前6世紀中頃に建設された神殿で、
エンタシス(円柱中央部の膨らみ)が特徴的な
太く短い柱を持つ素朴で力強いドリス式建築。
また、神殿全体を取り巻くように列柱廊がある
ペリプテロス式(周柱式)神殿ですが、
通常ファサードの妻側と側面の平側の柱の
本数の比率は "1 : 2+1" になるところが、
この神殿は正面が9本、側面が18本という
異例の数で造られているとのこと。



Tempio di Nettuno/ポセイドン神殿 (正式名称 : Heraion II/第二ヘラ神殿) ≫
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紀元前5世紀中頃に建設。ドリス式。円柱は正面が6本、側面が14本。
神殿内部は同じくドリス式の列柱が三廊に空間を仕切っており、
各柱の上にはもう一本ずつ柱が重ねられていて、高い天井と屋根を支えていたことがわかります。
3つの神殿のうち最も保存状態がよい貴重な遺跡。圧倒的な重厚感が迫ってきます。



Tempio di Cerere/ケレス神殿 (正式名称 : Athenaion/アテナ神殿) ≫
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紀元前6世紀末頃の建設。円柱は正面が6本、側面が13本で、標準的なドリス式神殿。
ただ、内部ではプロナオス(前房)を支える8本の円柱には渦巻き型の柱頭の装飾が見られ、
既に部分的にイオニア式建築が導入されていたことは注目に値します。


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Quartieri di Abitazioni (居住区)Foro (公共広場)Macellum (市場)
Comitium (民会会議場)Curia (集会場)Anfiteatro (円形闘技場) ・・・・

ギリシア植民都市に続き、ローマ支配下の時代には、
商店や市場を備えたフォロが造られ、街はさらに拡張されていきました。

・・・・・

初夏を思わせる太陽の陽射しが じりじりと照り付けてきます。
世界的な価値を持つ遺跡群とはいえ、場所柄のせいか観光客もまばら。
だだっぴろい草原を漂う静寂の中、ゆっくりと風化していく石の塊たち。
ゆるやかではありますが確実な時の流れが肌に伝わってきました。

2500年前に建設された神殿。 街の跡。 繁栄と衰退。

ここで生活していた人たちは、日々何を思って暮らしていたのかな?


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誰もいない Comitium に入り込む。
ふと横を見ると、半目を開け、アタマをやや上方に向けたトカゲがぴくりとも動かず佇んでいる。
その背中の色彩美に見惚れながら しばし様子を伺った後、ついカメラを向け接写してみた。
・・・なおも動かず。 おお、撮影OKですか。 それなら遠慮なく。 ぱちりぱちり。

その直後、人の気配がしたので振り返ってみると
「何を見てるの?」 といった表情をした 上品そうな白髪のおばさまが、こちらを覗き込んでいた。
欧米人観光客かな・・・
え、えーっと・・・ あ、あれ?? 「トカゲ」 って英語でなんて言うんだっけ!??

あたふたと曖昧な笑顔で、とにかく指で示してみる。

「Oh, ××!」
近寄ってきて、納得顔で応えるおばさま。

う。 聴き取れず・・・。

でも おばさま、嬉しそう(笑)
しばらくふたりで顔を寄せ合いながら、なおも微動だにしないトカゲを眺めてみた。

・・・・・

その後、ゆっくりと視線を遺跡に移し、またしばし眺める。
深い深い静寂に包まれる。

おもむろに おばさまが私を見て言った。
「What amazing place!」

あ。 今度は辛うじて聴き取れましたヨ。

私は深く頷いた。

そしてふたりで微笑んだ。



 
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| by dicotomia | 2007-06-11 00:26 | 旅先のイタリア語
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